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杖鼓(チャング)の いろは

地中に根を張る竹根っ子のバチ(クンチェ)、と天高く伸びる竹幹のバチ(ヨルチェ)。左右でかたちの違うバチを握るチャングの演奏。そして音の高さが異なる革を張った両面太鼓チャングの胴。地を踏みしめたり、カラダを浮き上がらせながら叩く杖鼓(チャング)のリズムは、天と地の間で遊ぶ人の姿と言われます。竹のしなり、カラダのしなりを利用しながら、リズムのメロディー(カラッ)を鳴らします。両手で叩く「ドン」、ヨルチェ(高音)の「タ」、クンチェ(低音)の「クン」。基本この三つの音が幾重にも発展して数百とも言われるチャングのリズムのフレーズが生み出されます。韓国打楽器の一番の特徴は、リズムに呼応してカラダが動いたり、また逆にカラダの動きに呼応してリズムが出ることです。バチを持つ手や太鼓を打つ腕の動作だけではなく、足の運び方や全身の運動でリズムの種類やノリが変化します。

<目次>

天地(上下)のバウンド運動「オグムジル」

太鼓を叩き踊る動作を紐解いて行くと、先ず、二本の足で「立つ」ことからすべては始まります。人がその場に立つとき地面(地球)との対話が生まれます。地球の真ん中に引っ張ろうとする引力に対して、バランスを保ちながら人はカラダを起こします。完全に脱力した状態であれば人は寝そべり、カラダ全体で地面と接しています。人は立つ事で地面と触れ合っている部分を「足」で捉え、地球の引力とのやり取りの中で、自然とカラダの重さ「体重」を感じています。

つま先立ちをし足首を軽く伸ばした状態(地面から高い位置)から、膝が無理なく沈み込める所までカラダを落とします。その時に掛かった体重を拾い上げカラダを高い位置に戻した後、又落とします。この全身のバウンド動作をオグムジル(膝使い)と言います。自分のカラダの重さを支える大きなチカラを持つ足。上下のピストン運動を繰り返しながら感じる体重をエネルギーに変換して、太鼓の音、打つ動作、リズムの流れに活かして行きます。この一連の流れをキウン(気運)と呼びます。

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気運

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オグムジル

ひとつ前に歩く 農楽の足運び

両足で交互に軸足を右、左と入れ替えて前に進むと人は歩き出します。片方の足で軸を取り体重を支えている状態から、反対の足(浮き足)が地面に着き、カラダの重さを移しかえる「ひとつ前に歩く」その一連の流れには大きなエネルギーが含まれています。日常生活の中、普段歩いて動いて何気なく感じ取っている体重やカラダの軸の移動。チャングを叩き、四方八方へ動く時、何より大切になってくるのが体重移動と「足の運び」となります。

 農楽の足運び

 ・軸足 --- 体重を支える片足

 ・送り足 - 掛かる体重を次の着地点へと送る足

 ・浮き足 - 軸足の反対側 宙に浮いている足

太鼓を叩き歩く時、カラダの重さに加えて太鼓を叩く衝撃が加わると、バランスを保ち続ける事はとても難しいとされます。両足で踏ん張って太い体軸を取るイメージよりも、むしろやじろべえのように揺れ続けながら「アンバランスの中からバランスをつかむイメージ」を感じ取ります。一歩足で軸を取り、次の着地ポイントへと交互に軸足を移していくように動きます。

  ・足裏のどの位置で地面と接しているのか(ex母指球 小指球 カカト 土踏まず)

  ・片足でどのように全身のバランスを保っているのか

  ・送り足から軸足へと体重が移る時や、その前後、一連のタイミングと速さは

など様々疑問が浮かんで来ますが、歩くその「土地の形状」によって大分違いがあり、その時と場所によって足やカラダのサバキを変化させながら、地面とのコンタクトを楽しむのが農楽の歩き方の醍醐味です。

足運び
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軸足

軸足

浮き足

送り足

浮き足

軸足

浮き足

軸足

浮き足

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