---- 舞台芸術 ----
ソルチャング 杖鼓組曲
舞台の上で限りなく自由に、その時その瞬間に湧き出てくる心の色を表現できる演目が「ソルチャング」です。
砂時計型の杖鼓(チャング)をカラダにくくり付け、歩き、走り、飛び跳ね、回転しながら舞う太鼓踊りです。
地面の下に埋まる竹の根っ子で作るクンチェ(低音バチ)の音は「地と陰」を表します。そして地面の上、空へと高く伸びる竹の幹で作るヨルチェ(高音バチ)の音は「天と陽」を表します。両手の形が違うバチ、音程が違う二つの皮、異なる性質のアンバランスな組み合わせから生まれる「音とリズム」。
山の水となり、川となり、雨となり、自然の中で自在に姿かたちを変えながら、よどみなく循環し流れ動く「水」のように、ソルチャングのリズムと踊りは、しなやかに変化し連なります。
フィモリ
「楽器やリズムは自然の恵みの中に在る」という韓国の民俗芸能「農楽」に伝わる考え方を基にして、チェジェチョルが打楽器の舞台音楽の演目を作りました。先人達から受け継いできた思いを、一つの舞台表現にカタチ作りました。
太鼓と鉦を打ち鳴らし、疾風の駆け抜けるような軽快なリズムの演目が「フィモリ」です。打楽器のアンサンブルの中、強烈な音で全体をリードする楽器がケンガリ(鉦)です。
雷鳴轟く嵐の中、稲妻が走り、巨木に雷が落ちた後、燃え盛る「火」が生まれます。ケンガリはその烈火のごとく鳴り響く「雷:火」を象徴しています。
絶えず流れ続く「水」や、山にこだまする「大地のうねり」を表す太鼓と、ケンガリ「火」が絡み合った時に、千里に届く音が生まれると言われます。
人の心の中にうずまく、うさを晴らし、仲間と共に楽器の音を遠くまで響き渡らせるフィモリのリズムは、演奏する側も、そして見ている側も、熱がどんどん上がります。
雷から生まれた自然の大きな火のチカラを大切に扱うように、打楽器の音楽の中で奏者は千里駆け抜けるチカラをみなぎらせます。