農楽(ノンアッ) 風物(プンムル)

米の豊作や魚の大漁を願い、地域の風習を取り入れて生まれた民俗芸能は、アジアの各地で受け継がれて来ました。韓国の代表的な民俗芸能「農楽」(別名:風物プンムル)は、地域の人達が豊かに暮らして行く為に行われてきた祈りの行事です。

地に眠る神様、家の竈(かまど)、井戸などに宿る神様を祀(まつ)り、福々しい運気が、家や集落、地域に流れるよう、庭や広場に出て、地面を足で踏み鳴らし、楽器を打ち鳴らして踊ります。ケンガリ(鉦)、チン(ドラ)、杖鼓(チャング)、プク(低音太鼓)の四つの打楽器の音楽を中心にして、農楽士達は叩き、踊り、歌い、口上や呪文を唱えながら、厄を払って、家内安全と平和を願います。

1年12ヶ月 四季を巡る農楽のリズム

農楽の代表的なリズムとして12拍子があります。地域や演奏される場面によって数多くの種類のリズムサイクルがありますが、韓国全土で広く親しまれ、昔から打ち鳴らされた来た「クッコリ」「サムチェ」「フィモリ」のリズム達。

1年12ヶ月。この自然の時の流れを打楽器の音楽で表して来ました。チン(銅鑼)は1年をプク(低音太鼓)は四季を、チャング(杖鼓)は月を、そしてケンガリ(鉦)は日や時間を、それぞれ表しているとされます。時、日、週、月、春夏秋冬、一年。自然の周期と関わり合いが深い韓国太鼓のリズム。農作物を作る農民達の生活サイクルとも重なる部分が多くあります。日韓同じく米を主食にしている文化圏で、その年の豊作を祝ってお祭りで行われる予祝芸の一つが農楽であり、そこで打ち鳴らされる拍子が農楽のカラッ(リズム)です。

 

陰暦小正月、豊年を祈り1年で一番大きいお祭り(テボルムクッ)を開いて景気をつけます。春〜夏、田んぼに水を引き、田植えと草取りをしながら米の成長を見届けます。そして秋、大きく育った稲を刈り取って、冬は少し休む。

 

テボルムクッで「起」こした人々のエネルギーの流れのまま、田んぼ仕事を続け「承」、自然のチカラと人のチカラの集合体である米を収穫し「結」、翌年の仕事に備え休みを取る「解」という、農民の暮らしのサイクルが、チャングや農楽のリズムの中に色濃く反映されています。1べ(1サイクル)、12拍。四季の移り変わりのように足のステップを4つ踏み、秋の収穫に向けてリズムや音のエネルギーを寄せ集め、最後に息を抜き緩めるリズム。この12拍のサイクルを何度も繰り返し、そして変化を加えながら農楽のリズムは高揚とリラックスの世界「起承結解」を循環していきます。

クッコリ(12拍)

 

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