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コッカル(花笠)と、これまでの日韓芸能交流活動

農楽を彩る装束。その中でも頭にかぶるコッカル花笠がとても可愛らしいです。地域やその用途によって様々な色と形があります。今回の舞台で利用したのはコチャン農楽保存会が普段使っている赤白黄色の三色コッカル「함박꽃고깔」ハンバッコッ コッカル(オオヤマレンゲ 花笠)と「봉지꽃고깔」ポンジコッ コッカル(封紙花 花笠)の二種類でした。

イム ソンジュン氏

ポンジコッ コッカル

パク ヘジン氏

ハンバッコッ コッカル

コッカル(花笠)づくり

ハンバッコッ コッカルは今回の為に日本で制作しました。韓国来日組、羽田に到着してすぐ「日本は、やっぱり生ビール!!」のリクエストを受けサイゼリヤで昼食を済ませた後、早速三つのコッカル作りを始めました。既に下準備を済ませておいた、ジャバラの紙の先端を、皆んなでチョキチョキとハサミで切る。切っては開いてお花を作って、カタチを整えての繰り返し。長い移動の後、限られた時間の中でも、本当に綺麗にコッカルを仕上げて行くヘジンの手さばき、まさに職人芸でした。

前後の黄色、側面の赤、てっぺんの白。微妙にサイズの違う花を絶妙に組み合わせて美しい立体を作り、花を笠に結んで行く。そして最後に、その名も「理髪」という名のトリミング。この時のヘジンの真剣な眼差しが、とっても印象的でした。コッカル作りに不慣れな私は、一度ハサミ作業に参加しましたが、その後はデザート買い出しとギターBGM役になっていました。皆んなで、コーヒー飲みながら、手を動かして、あれこれ話しをしながらコッカルを作る時。流行りの韓国ロックやポップスを聞きながら、口ずさみながら、美味しいプリンを食べながら、そんなひと時がとても貴重で、有り難い時間だと感じていました。コッカルが一つずつ出来上がって行くごとに、本公演まで近づいて来る時間の流れ。期待感とドキドキ感が、ゆっくりと流れて行った来日初日、雨降りの午後でした。ソンジュン兄さんが、かぶった一つ別のカタチのコッカル。봉지꽃고깔(ポンジコッ コッカル)、封紙花 花笠。ジャバラになった色紙を切る様式ではなく、タバコの巻き紙のように、色紙をクルクルと巻いて結わいて先端に切り込みを入れるコッカル。

これまでの日韓芸能交流

2016年の「KAWASAKI JAZZ」の時にイ ソンス(コチャン農楽)がかぶる為、韓国から輸送して来ました。一昨年他界されたピアニストの佐山雅弘さんの音楽監督の元、韓国農楽と日本のJAZZが出会う舞台に出演しました。
思えば、ソンジュン兄さんと、この時初めて私は日韓交流の現場に立ち会ったのですが、あの時のソゴチュムが未だに忘れられません。農楽ベースのアンサンブル曲を作り、ほぼ即興的に踊るソンジュン兄に、水の流れのような音を合わせて下さった御三方。佐山雅弘さんpf、高橋香織さんviolin、仙波清彦さんdr。「豊かな音」の中で踊るソンジュン兄が、伝統、コンテンポラリー、農楽、JAZZの枠組みを越えて、춤(舞踊)を心から楽しむ人を見えて、伴奏をしながらとても感動していたのを記憶しています。

生前の佐山さんの音の魂を宿したコッカル。今回の能楽堂では、そのポンジコッカルをかぶり、ソンジュン兄が踊っていました。2015年の第1回「MATSURI CROSSING」から始まった、我ら周辺の日韓交流活動の場。三陸国際芸術祭、Kawasaki JAZZ、青ヶ島プンムル還住太鼓など。色んな所で沢山の人達と出会い、韓国の農楽や、太鼓文化や、酒飲み文化を、海を越えて日韓の人達で共有していく流れの中で、今回国立能楽堂に立たせて貰えた事を光栄に感じています。

三陸や大船渡で感じた震災のツメ跡。浦浜念仏剣舞と金津流浦浜獅子躍りの盆供養に共演させて頂いた事。
日本のJAZZの先生達と真っ向から出会えた事。八戸種差海岸でスタッフ皆んなと踊った事。

24日(陰暦大晦日)、青山での前日リハーサルを終え、槻宅さんと一緒にお酒を呑みに行きました。明日の本番、どのようなコラボレーションをするのか?どのような解説で会をおさめていくのか?率直に意見を出し合いながら、初めはイメージの疎通が無かった所からでも、対話の中から少しずつ互いの大切にしている気持ちを受け取って行くことが、本当に大切であることを又、実感しました。

「起承結解」
農楽や韓国文化に通奏低音のように流れている感じ方や捉え方。一つ皆んなでエネルギーを積み重ねて行った後、その緊張を共にほどいていく。「締めては解く。」それを何度も何度も繰り返して行きながら、互いの呼吸の流れを感じて行く。本番前夜、宿に戻った農楽チーム。ソンジュン兄のコッカルの封紙を一旦ほどいて、丁寧に巻き直していました。今手元にあるものを最大限に活かして、頭にかぶるコッカルを美しく彩る。

皆でコッカルを作る作業の中にも、封紙の巻き直しの作業の中にも、とても温かい思いが満ちている事を側に居ながら、胸が熱くなっていました。お手製のコッカルを、今まで色んな地域の人達がかぶりました。その度、皆んな笑顔が出て、本当に嬉しいなぁと思っていました。

三陸国際芸術祭2017
八戸種差海岸

三陸国際芸術祭2016
大船渡