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「Chango Walk 2015」紀行文

文 チェジェチョル

チャンゴウォーク2015 Part3 興津「清見寺」~浜松へ


-2015/8/18-

朝鮮通信使が実際に立ち寄ったお寺、今回の旅の途中、静岡県内で一番見たかった場所「清見寺」に到着しました。只今朝7時です。開門の8時半まで今しばらく待っています。清見寺に入山後、色々と歴史についてお話を伺いました。昔は寺の目の前までが海が広がっていたこと、朝鮮通信使の書き残した木簡の数々。移動の途中、命を落とした人のこと。朝鮮半島から500人規模で海を越え往来をしていた使節一行。朝鮮半島を出発し、対馬から瀬戸内海を海路で40~50日。陸路で大阪から江戸まで20日程で進んでしまう速さ。想像が着きませんでした。通信使の一団にいたであろう芸能者。彼らは何語で日本の地元の人達と会話をし、そしてどんな芸とリズムで日本を沸かせて行ったのだろうかなぁとイメージが膨らみました。チャンゴウォークの事情を説明し、杖鼓を叩いて踊らせてもらいました。


江戸時代と今をつなぐお寺で、そして朝鮮通信使が立ち寄ったお寺で、チャンゴを叩きながら「今自分は朝鮮半島を目指しているのだ」と実感していました。本堂裏の壁に書かれた文字を見て、心臓が止まるかと思うくらいの迫力がありました。漢字、漢文のエネルギーを存分にあじわいました。清見寺にある家康の人質時代の部屋。その部屋を案内しながらお寺の係りの方が『家康は戦国時代に生まれ、どの武将よりも戦わないことを望んだんだと思います。子供の頃から人質として囚われていた経験から、極力戦わないで国を治めたいと願っていたんじゃないでしょうか』と話しておられたのが、とても印象的でした。


-2015/8/19-

おはようございます。昨日は興津「清見寺」〜静岡〜丸子まで来ました。雨が降ったり止んだりで、湿気を十分に感じています。 今日は丸子から宇津ノ谷峠を越えて、島田を目指します。雨の中、進むかどうか判断がなかなか難しいですけど、それも歩き旅の醍醐味として捉えて、色々感じて進んでいます。丸子宿のとろろ汁「丁子屋」さんに通りかかりました。今日は残念ながらお休みだったけど、女将さんと駐車場でばったり遭遇しました。6年前のチャンゴウォーク東海道の事を憶えててくれていました。 美味しいとろろ汁の味は今でも体に残っています。そして、忘れられない思い出が残る宇津ノ谷峠へと。


宇津ノ谷の町手前、道の駅で休憩をしていたら子供達に取り囲まれました。

 『早く叩いて〜』「はいちょっとお待ちを」

  フィモリ叩いて後、すぐに子供達『叩かせて〜』「はい、どうぞ〜」

ひとしきり叩いたら、興味が薄らいだのか写真を撮ると言っても、お構いなし様子。ふふふ、こういうの良いです。


そして宇津ノ谷の町中へ 小さい山集落。何とも優しい空気感が流れていてて、とっても大好き場所であります。写真は2009チャンゴウォーク初トライの時です。たまたま通りかかったその日が年に一度のお祭りの日。地元の獅子舞とチャンゴの共演を熱烈に望んで、チェを引き留めそして自宅に急遽泊めて下さったご家族。朝ご飯を準備しながら、おばあちゃんが話してくれました。


「うちのお父さんは炭鉱の町で育ったの、実の母さんがお乳が出なくて、炭鉱に住んでた朝鮮の別の母さんからお乳をもらったの。だから、うちのお父さんは朝鮮の血で育ったのね。それで、あなたがお祭りの昨日、ここを通ったのは何か特別なご縁を感じたのね。お祭りって縁起物でしょ。あなたの太鼓は縁起物なのね。」と伝えられ、お礼としてアリランを歌わせて貰いました。ご夫婦が静かにアリランを聞き、涙を出していました。今も記憶に残っています。『太鼓は縁起物、縁をつなぐもの』本当に大切な言葉のプレゼントをもらったように感じました。


09年通ってから、また通りたかった道。今年は道端のお婆ちゃんと談笑。そして宇津ノ谷峠へと入って行く。箱根と比べると小さな小山なんだけど、何というかとっても温かみが感じられる山道。色鮮やかな花に囲まれたお地蔵さん。すごくチャーミングでした。道から教わる事が沢山有ります。本当に、ありがたいです。


-2015/8/19-

只今島田手前です。江戸から200Km歩いて来ました。一歩ずつ韓国が近づいてます。嬉しいです。残りの1100kmくらい先(歩きは400km)に韓国があります。気持ちが高ぶり小走ったら、ちょっと行けました。明日は金谷&日坂の茶畑!


-2015/8/20-

掛川まで残り8KM。今日もてんこ盛りで、色々有りました。 もうちょっと頑張って見ます。


-2015/8/21-

昨日は島田〜大井川〜金谷〜日坂〜掛川でした。途中お茶畑が広がる「小夜の中山」はやっぱり難所でした。09年と同じく、急こう配にやられて道端で仰向け状態でひっくり返っていました。︎横を通りかかった軽トラの地元民から「歩いたらそりゃ大変だわ〜(笑)」『すね~~!』と答えました。でも、自分の足で坂を高くまで上って見渡す風景。バーッと広がる一面の茶畑を見たら気持ちが晴れました。09年に旅した旧東海道で記憶に残る場所の一つがこの金谷〜日坂の茶畑「小夜の中山」。 往来が辛いのか、歴史的に色んな人達がこの地をモチーフにして詩をよんでいます。


芭蕉も。 『みちのべの 木槿(むくげ)はうまにくはれけり』 簡単なコトバが、脳内にイメージが広がり、今目で見ている茶畑の姿と合わさって、絵が広がる。シンプルなコトバから、生まれて来る風景のお絵描き。凄く、素敵です。


坂を下り日坂、そして掛川へと。陽が落ちた夜の掛川の街を走りました。お茶農家の友達ほーりーがチェの救済をしてくれました。夜ご飯を一緒に食べて、漆黒掛川城、そして夜の海を見に行ったら、とんでもなく巨大な風車があって、そのデカさにおののき、ほーりー家で寝落ちしました。いつ寝たのか記憶がありません。本当にありがたい。いつかほーりー家業の茶畑で太鼓叩いて走りまくる映像を撮りたいです。静岡&掛川、万歳!です。



-2015/8/21-

今日は掛川〜浜松までを進んでいます。昨日の金谷&日坂の鬼の坂道がボディーブローのように効きまくってしまい、本日、牛歩のスピードです。ゆっくり進んでいる時に起こる面白いがあります。遠い所から「お茶飲んできなぁ〜」と声が。袋井名物の「どまん中茶屋」です。つめたいお茶を入れてもらい、そしてカバンのサイドポケットペットボトルにも入れてくれました。 ありがたや。 お返しに少し叩いて歌ってみたら、皆、凄く喜んでくれて、集合写真を一つ撮りました。東海道どまん中まで来ました。浜松まで、まだまだです。どっこい進みます。


-2015/8/22-

やっとこさ浜松到着しました。東京〜大阪の大体中間地点。昨晩の天竜川の橋越え、スケールが大きかったです。ここ数日、雨に降られたりして「あちゃちゃ〜」となってましたけれど、今朝は抜けるような晴天也です。駅前で流れてたショパンの曲が浸透率ハンパ無く全身に沁み渡りました。 いざ後半戦です。「go to 大阪、博多、韓国!」 まずは浜名湖へ向かいましょう〜

 



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